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Rewrite 感想 Part.1

2011年07月01日 17:28

Rewriteが4月からの延期の末、ようやく発売された。単なる鍵作品というよりは、ロミオ作品としての位置付けており、2011年上半期の生きるモチベーションとしていた作品である。
ルチア→ちはや→小鳥 と攻略を進めた。途中経過兼備忘録として感想を述べたい。
前半は極力ネタばれなし、続き以降はネタばれ全開なので未プレイ組は回避推奨。

Rewrite 初回限定版

作品の率直な印象:世界観はロミオ作品。しかし、シナリオの中には確かに鍵成分が含まれており、幾分か難解な記述が解きほぐされ、設定がわかりやすくなっている。従来の鍵作品とはベクトルが違う印象。


■ビジュアル
解像度は昨今の主流となっている1280x720を実現しており、大型テレビで見ても綺麗さを感じ取ることが出来る。ワイド故か斜めの構図が多い気もするが、CG枚数に不満を感じることも特にない。立ち絵も多さは感じないが文句なし。いたる絵はさらにデフォルメされた印象。朱音さんのリボンペロペロ。
背景もとても綺麗で、昼、夕方、夜等時間の変化に応じてしっかり雰囲気を変えてくる。
全体的な配色として濃い色が多いため、ライブカラー等彩度を上げる機能はオフ推奨。


■音楽
音楽でプレイヤーの感情を動かしに来る鍵の技量は顕在。泣かせに来る曲が多数。音質も鍵らしく良好である。
「Resribution」はシンセのピッチベンドとその後ろで鳴り響く断続的な電子音が気持ちよく好み。効果音でふと最果てのイマを思い出す楽曲が存在した。


■システム
起動からタイトルへの移行段階で感じ取れる完成度の高さ。
機能もシンプルで多すぎず、少なすぎずで使いやすい。(私的には付加機能としてアス比固定スケーリング、右クリックの設定、クリック時のボイス継続有無があれば満足)

ウインドウの右下で歯車が常時回転しており、これが大変滑らかな60fps動作。動きがないAVGという印象からは一線を画しているように見えた。エフェクトも同じように滑らか。
マッピーという地図を移動させて街や学校を散策するシステムがあるが、マッピーとジョイパッドの愛称は最悪である。広大なマップを効率的に散策するために、マウス移動速度を3倍にしたRewrite設定を用意することになったのは、言うまでもないだろう。


■シナリオ
鍵が送り出すだけのことはある大ボリュームで、多数の設定、思想が散りばめられ、世界観が形作られている。
この世界観をいかに巧く生かし、溶け込めたかによって個別ルートの出来が大きく左右されたと思う。一部のルートでは世界観に流されてしまい、「それで、何がやりたいの?」とライターの限界を感じた面もあった。
ただし、いずれのルートでも、ヒロインの立ち方は素晴らしく、魅力を秘めている。

本作の特徴でもあるが、日常におけるシーンイベントの多くがつぎはぎのような連続性を感じさせない構成になっており、感情移入がし辛い点が挙げられる。故に、過去作と比べるとテンポの良い鍵らしいギャグとは少し毛色が違ったものになっている。
むしろ、これら日常シーンすらも伏線に取り込まれていた面が存在し、従来の鍵のようにストレートに日常で友情や絆を表現した方向とは解釈を異にすべきと考えるのが適当であろう。
時間の経ち方についても、数行であっと言う間に時間が消化されてしまうことがあり、付いていくのが難しいシーンも存在した。

続いてヒロイン毎の感想に移る。以下ネタばれ含。

  小鳥ルート
小鳥ルートで評価すべき点は、冗長的でなくテキストに集中しやすい点、そしてレトリックの上手さだと思う。終わり方に締まりはなかったが、真ルートに期待を持たせるシナリオ。

飼い犬、両親、そして瑚太郎に手をかけた。そのために鍵すら利用した。小鳥ほど闇を抱えたヒロインはなかなかいないでしょう。
蘇生前の瑚太郎の性格が正反対だった、という事実は思わず「やられた」と思った。小鳥両親別れのシーンでは魔物化しても元の記憶は引き継げる?とプレイヤーに希望を持たせた後での、ぶち壊しでしたからね。
過去編は瑚太郎の障害により明らかにならなかったが、物語の根幹に関わってきそう。

小鳥はどの段階で瑚太郎が好きだったのだろうか?(そもそも好きだったのかも怪しいが)
蘇生前より先に好きだったとすれば、瑚太郎は蘇生された跡で変質しまい、以前の彼は存在しない。一方、蘇生後であれば、それは作られた感情でしかないのかもしれない。いずれにせよ、小鳥が報われない構図となっているのが皮肉だ。
あと、どうでもいいことだが、ラストのCGを見て瑚太郎がスカートを履いているのかと思い、おもわず他ルートのCGを見直した。

  ちはやルート
ちはやと、彼女が従える最強の魔物咲耶、そして瑚太郎のお話。
ちはやルートの展開は、少年漫画である。
戦闘に出てくる魔物は回を追う毎にどんどん強くなり、最後には今まで倒した魔物や伝説級の魔物がゴロゴロ出てくる王道インフレっぷり。それに応じた主人公の強化も半端ない。小鳥ルートでは試行錯誤の末編み出した技が、ちはやルートでは閃きによって戦闘中に平然と繰り出されていた
組織の命令で襲ってきたはずの魔物使い3人がいつの間にか私怨で襲ってくるようになったりと、もはや私の理解を超えていた。
ラストバトルは気合の特攻。私的な評価は他の2ルートと比べると見劣り感じざるを得ない。淡々と戦闘が繰り広げられ、冗長的だったように思う。

でもちはやがかわいいので許す。おばかなキャラが立ってる。語尾の「です?」や、「な、なんでですかー」と叫ぶちはやの声を聞けば聞くほどにかわいく感じてくる。
管理人の印象はともかくとして、ちはやルートをプレイすると、大方の組織や主要キャラクターの素性が判明するので、Rewriteの大筋が掴める。その意味で価値があったかな、と。

  ルチアルート
一番微妙そうなポジションからいくべきだろうという判断で、委員長を最初に攻略した。が、いい意味で誤算であった。
Rewriteはその世界観と設定にシナリオが流されがちであるが、ルチアルートはその中で巧く個性が出せていたと感じる。

私が思うに、緩急が付いていた点が他ルートとの大きな違いだ。シリアスに突入するとどうしてもその雰囲気に流されてしまい、日常シーンでも気が抜けなくなってしまいがちだった。しかし、本ルートはアサヒハルカの謎に迫るオカルトと、収穫祭の中で起こるガイアとガーディアンの抗争で構成が分かれ、その間に、いちゃいちゃできる美味しいシーンが挿入され、安心してみることが出来たように感じる。
ヒロイン視点が多く存在したことも特徴だろう。一人の視点では相手が何を考え、どのような思想で動いているのかわからないが、ヒロイン視点での描写がなされることで、より物語への感情移入がしやすくなった。本ルートはヒロイン視点を多用しながらも、ルチアとハルカの関係を”騙し”にきており、巧い構成だったと思う。

前半のオカルト編は背筋がゾクッとするようなテキストで楽しめた。まさに、竜騎士氏が最も得意とするものではないか。そして、オカルトからSFへのスライドも見事。
ただ、ラストシーンはぐだぐだであった。「私に生きる意味はあるのか?(チラッチラッ」なルチアさんとひたすら空振りを続ける、もはや他ルートとは別人の思考回路を持った瑚太郎の不器用さにニヤニヤするのが正しい楽しみ方だろう。
毒を生み続けるルチアと世界中の核シェルターを巡るエンド、ってそりゃ予想できんわ。

それにしても、ルチアはいわゆるツンデレにカテゴリライズされるかと思うが、その愛の深さは特筆すべきものがあると思う。ルチアは自ら敵陣につき、20万人の命を犠牲にした。そんな彼女の行動の源は、瑚太郎に必要とされたいという欲求だったわけです。(しかも彼女自身も半ば気付いているような……)
これって究極のツンデレじゃありません?
ちはやと静流はもっと怒っていい。

小鳥ルート終了後に思い返して見れば、歩く放射性物質の隣に居座ったのは、結局人間ではなく、魔物であったというのも、面白い。
ちなみにルチアルートのテキストは、「ぉぉぉぉぉおおおお」ととりあえず延ばせばルチアっぽくなるし、「ッ!!」と語尾に付ければルチアルートの瑚太郎君の完成である。

あと、小鳥の忘れ去られっぷりはやばかったと思う。


さてここまで3人を終え、現在朱音さんを攻略中。
総じていえるのは、それぞれのルートで全く異なったテーマが存在すること。
事前情報で、戦闘ばかりになるルートもあれば、日常を生きるルートもある…みたいな話を聞いていたのだが、今の所ひたすらシリアスな、「世界が悪意で満ちている」ルートしか見えないのですが、果たして希望と日常に溢れたルートは見ることが出来るのか。……答えはもうわかる気がするけど。
人間の絆が矮小に見えるぐらいの惑星のマクロ的な流れに無常にも流されていくシナリオは、退廃的だからこそ美しいとも言えよう。
鍵を巡るだけに、まさに鍵ゲーだよな、などと思いながら、今後、瑚太郎のリライト能力の本質に迫れることを期待したい。


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