BRAVIA HX900 店頭レビュー

2010年07月18日 10:02

家電量販店を知人と巡回していた時、BRAVIAコーナーに地味に設置されていたTVの内1台。
値段を見て、初めて気付いた。何時の間にやらHX900が展示されていた。
というわけで、BRAVIA 2010年度フラッグシップモデルとなるHX900について、感想を述べたい。

※追記しました
■筐体の質感は現行モデルの中でも優れているが
筐体は同じモノリシックデザインのLX900と比しても一線を画して高級感があった。
主な違いは、筐体横及びスタンド部がヘアライン仕上げになっている点と、左上にBRAVIAと綺麗に印字されている点。しかし触れてみると、プラスチックのような素材にヘアライン加工がされているため、やや安っぽく感じた。管理人はSilverStoneのGD05のフロントパネルを思い出した。


■直下型LEDのローカルディミングの存在感は大きい
まず、パネルはシャープパネル
HX800の滑らかな直線とは違い、いつものガタガタが健在だった。(これではっきりしたが、HX800はおそらく他社のパネルを使用している)

画質は、現行モデルでは断トツだ。
ローカルディミングはXR1と同じ詳細設定から設定でき、"標準"にすると有効となる。
明るい店頭ながら、隣に置いてあった機種と比べると雲泥の差で黒の沈み込みが確認できた。ただ、解像度はやはり粗めのようで、黒い背景に白の文字が映ると境界周辺で黒浮きが確認できた。
オプティコントラストパネルの映り込みは健在。グレアパネルは映像のキレを出すメリットと映り込みのデメリットで一長一短、私観としてはありえないが、ここは個人の感覚に任せたい。
モーションフローは店頭で効果を確認することは難しいが、クリアにしたときの輝度の落ち具合はXR1より少ないように感じた。


■白色LEDの色域には限界がある
非常に残念なのは発色。直下型と言えど、白色LEDの色純度の限界を見た形となった。
XR1のみならず従来モデルと比較して、全体的な傾向として"白い"。そして青はともかく緑の色が伸びず、RGB-LEDと比較すると、自然風景の木々の緑の葉の映像などで、豊かな色が出ず色褪せて見えた。相変わらず詳細設定でカラースペースの項目が消えているのも気になる点だ。
ではソニーお得意、彩度の高いド派手な発色はどうか?と、ライブカラーを強に設定。しかし、従来のまるで発光しているような濃いRGBが出ない。やはりこれも白色LEDの色域に起因するものと推測する。
ソニーらしくない色作りだ」と感じたのが友人との共通見解であった。


■コストダウンによって狭まった画作りの方向性
具体的に言うと、ソニーのテレビの魅力は元の映像に忠実な絵から彩度の高いド派手な絵、2つの映像を設定で使い分けることが出来る点である。後者を支援していた機能が「ライブカラークリエーション」及び「カラースペース」の項目である。
しかし、本機を含め2010年モデルは「ライブカラー」しか搭載していない。これだけでは彩度の高い画を表現することが出来ない。なお、このライブカラーは2005年のX1000で搭載されていた機能である。
どうしてこんなことになってしまったのか?
ソニー側の見解として「色の方向性を変えた(派手にする必要がなくなった)」とのことだが、管理人はコストダウンが要因だと考えている。
ライブカラークリエーションは色域を拡張し、色を濃く見せる機能であるが、その際γ補正を挟む。この補正をする際、内部処理ビット数が少ないと諧調が潰れてしまう問題が発生する。ライブカラークリエーションはおそらくそれを防ぐためにある程度内部ビット数を上げていたものと思うが、今期ではコストダウンにより処理ビットを下げざるを得ず、結果的に劣化したライブカラーになってしまったのではないだろうか。


ところで、HX900でも上映されている現行BRAVIAのデモが、白と黒が多用されたモノクロ調の構成になっているのはご存じだろうか?本当に赤や緑の原色が使用されないのだ。(QUALIAで散々放映していたワインデモはどこへ消えた?)

お陰様で、ライブカラーや色域の確認をする際に大変手間取った。
モリシリックデザインのコンセプトを表現しているというこのデモ、
実は白色LEDの色域の狭さを隠すためにこのような色作りになったのではないだろうか?


■意外なインテリジェント補正の設定
細かい設定画面を見ていくと、下位機種と比べシャープネスの設定が0~99まで設定が出来るようになっているが、この点は従来のXR1と同じだ。
HX900のウリであるインテリジェント補正機能だが、MPEGノイズリダクションに「オート」の設定が加わっており、これがインテリジェントノイズリダクションである。見たところ、従来のMPEG NRを動的にしたものといったところ。ffdshowの機能ポストプロセッシングの自動コントロールに似ている。
そして、イメージエンハンサーだが、なんとこれは設定が出来ない。どうやらエンジン部に組み込まれたものらしく、調整することが出来ないのだ。
下述するが、おそらくこれらはDRCと代替する機能ではない。むしろ、この状態でDRCと同様だったら"非常に困る"のである。


■本機には遅延リスクが存在する
PCとの接続を考える上で考慮すべき点の1つが「遅延」である。最近のテレビは画像処理回路をスルーして遅延を減らすモードを搭載した機種が多いが、本機のようにLEDコントロールを使用したい場合、このモードを使えない。よって、映像処理により発生する遅延によってどれだけ実用的になるかが変わってくる。
XR1では映像処理経由で100ms程度の遅延が存在していたが、ゲームプレイの支障はほとんどきたしていなかった。しかし、DRCをオンにすると200~250ms程の遅延が発生し、体感で判別できる遅延となり、使い物にならない。

HX900では画像エンジンに新たに追加されたインテリジェントイメージエンハンサーの存在によって遅延の値が悪化している可能性を指摘したい。
もしDRCのような遅延をもたらし、しかも上述のようにオフに出来ないのであれば、それはもう使い物にならない。
実際に購入を考える場合は、購入者の報告を待つべきだと考える。

しかし管理人の推測では、DRCのような+αの回路は使用されていないと考える。
BRAVIA ENGINEは伝統的にトライデント社製のチップを使用している。そして、DRCを搭載したPROモデルは付属する形でトライデント社製チップ+αのカスタマイズを加えたものだと聞いている。
今期のコスト削減具合を見るに、従来のトライデントチップをベースとして、チューニングを加えていると見るのが無難であろう。


■結論 BRAVIAはどこへゆく?
どうしても現行モデルで買わなくてはいけなくて、3D、モーションフロー、ライブカラーに魅力を感じていて、現行最高画質が欲しければHX900を買うべきだと思う。
管理人的にはネガティブだ。やはりとは思っていたが、画質面でXR1を超えられなかった残念な機種。なにより、今まで存在していたBRAVIAの魅力が減ってしまった点が本当に残念だ。彩度の高い画はアニメにピッタリなのだ。
本当に「どうしてこうなった」状態。いつ出るかもわからない、RGB-LED搭載次期モデルを夢想したい。

以上でBRAVIAの今期モデルのレビューは一通り終了。画質で優劣を付けさせてもらうと、
HX900>HX800>LX900>>NX800>>>EX700………
(CCFLバックライトのHX700は見れていないが、LX900を超える画質でもおかしくないだろう)


コメント

  1. はじめまして | URL | SFo5/nok

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    はじめまして。
    初コメントさせていただきます。
    HX900の事ではなくLX900の事で申し訳ないのですが…
    管理人様の記事にあるLX900も千鳥配列でガタガタとの事なのですが、アニメ映像(輪郭や背景)もガタガタに見えちゃうのでしょうか?
    管理人様個人の意見でいいので宜しくお願いします。

  2. Prima | URL | 3/2tU3w2

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    おはようございます。
    私が指摘しているのは、あくまで画素内の並びの話ですので、画面から1m以上離れて通常のようにアニメを視聴する分には全く問題ないと思います。(私も約4年間千鳥配列のアクオスを使用していました)

    実用上で問題となるのは1920x1080でPC入力させ、至近距離から文字を見る場合等です。
    あとはマニア的に言うと精神的な部分でしょうか。千鳥配列と綺麗な直列配列どちらが良いかと言われれば、直列ですよね、と…

    実機を見て気にならなければそれで良いと思いますが、私としては把握、納得した上で買うべきだと思うので着目点の1つとしてこのブログでは扱っています。

    (ご参考)価格.comで千鳥配列がわかるEX700の接写画像を見つけました。
    RGBが直列でなく、斜めに点灯されているのがわかると思います
    http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000081868/SortID=11025728/ImageID=590324/

  3. 774 | URL | SFo5/nok

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    おはようございます。
    コメ返信、参考画像 ありがとうございます。
    なるほど。自分はTVでPC入力する事はないので…
    普通に見る場合はあまり関係ないのですね。安心しました。
    実物見た感じでは、あまり差は感じられなかったのですが私は結構神経質なので千鳥配列で悩んでました…
    でも、管理人様の意見を聞いてLX900にしようと思います。
    まぁLX900の画面の下の銀色バーがものすごく気になりますが…(笑)
    それはともかく、本当にありがとうございました。

  4. なり | URL | v6O6VgHs

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    はじめまして、こんにちは。
    管理人さんのレビューはとても参考になり以前から拝見してました。
    当方32F1からの買い替えで52HX900を購入したのですが、
    劇的に画質が向上したとはいえませんね。
    残像感は感じなくて素晴らしいのですが、何だか全体的に白っぽい画質・・・
    あとイメージエンハンサーは多分設定出来ますよ。
    (ディティールエンハンサーとエッジエンハンサーってやつ?)
    シーンセレクトでゲームにするとLEDコントロール等殆どの項目が切になるのですが、その状態でwiiのマリオをプレイしても致命的な遅延は感じられませんでした。
    以上参考までに・・・

  5. Prima | URL | 3/2tU3w2

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    なりさん、ありがとうございます。
    白っぽい画質はバックライトの弊害だと思うので、設定でのりきるしかなさそうですね。まずは思い切り色温度を下げることをお勧めします。

    上記では解説しておりませんでしたが、、エッジ及びディティールエンハンサーは私の所有するXR1含めて、以前よりBRAVIAの上位モデルに搭載されています。ですので、高い確率でイメージエンハンサーとは異なるものだと思います。

    続いて遅延の件ですが、私が記事で言及したのは映像処理回路を経由したときの遅延です。
    シーンセレクトのゲーム、もといゲームテキストモードは映像処理をスルーするので遅延はほとんどなく、20-30msと優秀です。(代わりにほとんどの画質設定項目が選択できなくなると思います)
    しかし、やはりLEDコントロールの効いた映像でゲームをしてこそのハイエンドTVだと思いますので、通常の状態でゲームをプレイするのは実用に耐えうるのか?といった懸念を記事に書きました。

  6. ましおか | URL | -

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    はじめまして、こんにちは
    HX900のレビューを探していたらこちらにたどり着きました。
    液晶TVにお詳しいようなので質問があります。

    2chなどを見ているとLEDバックライトをよく思わない書き込みを見かけますが、管理人さんもCCFLバックライトの方が画質が良いと思いますか?それは何故ですか?

    http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20100408_359610.html

    ↑↑にLEDバックライトの利点があげられています。
    逆にCCFLの利点と弱点、LEDの欠点は何でしょうか?

    質問だらけで申し訳ないです。よかったらコメントよろしくお願いします。

  7. Prima | URL | 3/2tU3w2

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    初めまして。難しい質問ですね。長くなりますがご容赦ください。
    基本的に上記URLを踏まえた上で、意見を述べさせていただきます。

    コストや消費電力を無視し、画質のみを追求した場合、私はLEDバックライトの方が優れていると考えます。
    理由はバックライトブリンキングやエリア駆動など、CCFLでは出来ず、LEDバックライトで可能な技術が非常に多いからです。
    直下型であれば、LEDを面積当たりの個数を増やせば増やす程程輝度は伸びますし、高演色のLEDを採用すれば色域も広くなります。方式としては、LEDの方がポテンシャルとして優れている点が多いと考えて良いと思います。

    ただし、実際の製品において、画質の良し悪しはCCFLやLEDのモジュールの品質によって全く変わってくるため、優劣を付けることは難しくナンセンスです。LEDは点光源ですので、直下型では品質にバラつきが出ればそれが画面のムラとなって出てきますし、白色LED自体の性能が悪い場合、良くない画質に仕上がります。

    LEDバックライトの悪評は、性能や信頼性の面から問題のあるテレビが出荷されていたこともあり、LEDに対しネガティブなイメージを持つ人が多いような気がしますが、一方でネットの意見を参照した限り、LEDの性質を本当に理解してバックライトに対する批判をしているのか、分かりかねる点も多いと感じます。

    CCFLの利点は1.バックライトとしての熟成度、2.コスト優位性にあると思います。すでにCCFLは熟成されていると言っても良く、エンジンとパネルの組み合わせに際し、チューニングが万全なため、ある程度の画質が担保される面があるでしょう。LEDはまだまだ各メーカーとも画質を模索している印象もあり、エンジンの完成度にはまだまだ上昇余地がある気がします。
    次に、モジュールの価格を見るとCCFLはLED(エッジライト式)よりも42型で100ドル程度低くなっています。つまり、同じコストでバックライトを調達する場合、CCFLの方が信頼性に期待がおけるものが選択できると考えられます。特に品質のばらつきは低コスト調達で置き易いことを考えれば、エントリーモデルの場合でCCFLとの品質の乖離が広がるものと思います。
    BRAVIA EXシリーズは白色LEDで評判の悪かった例だと思いますが、CCFL機と比較の上でネガティブな意見が多かったのは、「チューニングの悪さ」「低コスト調達のLEDの品質の悪さ」が理由だと思います。

    LEDテレビはCCFLに比べデフォルトで色温度が高い物が物が多く、この点もCCFL機種に比べて違うと感じる点かもしれません。色温度が高い設定の要因として、白色LEDは赤方向の色域が狭いからとも考えられますが、現在は高演色性のものであれば、それもありません。

    もう一点、こちらは定性的な意見、仮説になりますが、思い当たるLEDの欠点を述べると、目の疲れやすさが挙げられるかもしれません。
    LEDはCCFLと異なり、色波長がRGBに尖状です。特に白色LEDは青色LEDベースで、人間の眼では知覚しにくい波長で発光するため、青方向の発色が非常に強いものになっています。この性質は色の純度を上げるポジティブな要素として捉えられることが一般的ですが、一方で光の集中によって、青色LEDの目に対する危険性が懸念されるのではと考えられます。CCFLはある程度波長がばらけていることもあり、このようなリスクが低いと考えられます。
    なお、私がこの仮説を挙げた理由は、「150ルーメンのLEDサイリウムがUOより眼が疲れやすい」という経験をしたことがあるからです。輝度、色温度を低くすればを防げる問題ですが、一応ご紹介しておきました。

    以上で、お答えになりましたでしょうか。

    ちなみに、最近の機種ではREGZA ZシリーズとZSシリーズがCCFLとLEDで思い切り競合しているのでこの2機種について意見を上げておきます。
    ZSはCCFLで直下型な分、エッジライトLEDのZに比べ画質の優位性があると考えられますが、その分Zはエリア駆動に対応しています。管理人は、同じサイズでどちらを選ぶか問われれば普通にZ1を選びますが、Z,ZSのラインナップの中でどれが推奨ですか?と聞かれれば32ZS1を推奨します。
    ZSシリーズの存在価値は32型がノングレアパネルな点にある、と考えるからです。

  8. ましおか | URL | -

    Re: BRAVIA HX900 店頭レビュー

    コメント返信ありがとうございます。
    私も管理人さんと近い意見です。
    管理人さんの定性的な意見は自分にはない考えで参考になりました。
    パイオニアのKUROやBRAVIA XR1のような高級路線の製品が出てほしいものですね。今の市場環境では期待出来なさそうですが。
    LEDバックライトの今後の熟成に期待ですね。
    コメントありがとうございました。

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