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モーションフローは高画質化の機能として、もっと評価されるべき

2010年05月01日 20:15

管理人が液晶テレビを選択する際に、なぜ真っ先にBRAVIAを挙げるのか、
それは一重にモーションフローが搭載されているからである。

モーションフローはソニーの残像低減機能の1つだが、この機能には「残像低減」と「フレーム補間」の2つの特徴がある。
実際には、「フレーム補間」は残像を低減させるための手段に過ぎないのだが、モーションフローではフレーム補間自体が大きな武器になっているのである。

2ch等を見ていてもモーションフローの話題が出た際、フレーム補間と残像低減の機能がごっちゃになって解釈されている部分があると感じるので、この記事で少しでもモーションフローの特異性(変態性)について知ってもらえれば幸いである。

知っている人もいると思うが、モーションフローはその内の設定スムーズor強において、
映像が極めてヌルヌルになるのだ。
どんな感じかって?
その感覚を知るために、下記の動画2つを見比べてみてほしい。コマ落ちしないこと前提で話を進める。





上が、元の動画。下がフレーム補間を施したもの。
見慣れていない人は右側に対して、妙な感覚を得たと思う。モーションフローのフレーム補間は、これとほぼ同機能だ。
より正しい表現で記載すれば、「ジャダーを排除する」機能である。

コマとコマの間に本来存在しない中間フレームを予測・生成して、動画を加工する━━━━
元の質感と異なってしまうと言う意見もあるだろうが、画面のパンや字幕のスクロール、キャラクターの細かな動作が本当に滑らかに動くようになる
例えば、efのOP、ひだまりスケッチのOPは特に相性が良く、恐ろしくヌルヌルに再生される。

管理人は、フレーム補間に魅せられた1人だ。
私個人の感覚では、アニメには相性抜群だと感じている。慣れてしまうと元のソースはガタガタ過ぎて見ることが出来ない。
ただソースとの相性もあって、映画にモーションフローを適用するとCGっぽさが出てしまい違和感を感じてしまう。動きの速いシーンではフレーム予測ミスによる映像の破綻も見られる。
この効果をネガティブにとるか、ポジティブにとるかで、あなたがモーションフローを受け入れられるかが変わってくる。


■中間フレーム補間の立ち位置を知る
元々フレーム補間は、古くからWinDVDのTrimensionDNM(通称TDNM)という機能で搭載されていた。(現在のWinDVDではAll2HD内のデジタルナチュラルモーションという機能で搭載されている)
WinDVDのTDNM及びAll2HD DNMは24P及び60iソースを60Pにフレーム補間する。モーションフローの方が120hzにフレーム補間する分有利に感じるかもしれないが、これでも充分ヌルヌル感が得られる。

しかし、この機能は解像度に制限があるなど難点が多く、初めてまともな完成系として出されたのが、モーションフローであった。
出力側でなく、入力側であるテレビにこの機能を搭載したことは実に理にかなっていたのだ。

テレビにフレーム補間機能が搭載された経緯は、残像低減にある。
液晶テレビの倍速駆動とは、液晶の残像を減らすための手段の1つだ。
液晶はホールド型といって、コマとコマが切り替わる際、同じ映像が表示され続ける性質がある。それが液晶のフリッカーの感じにくさや、絵のように見える効果を生み出しているのだが、その性質がブレ(残像)を感じさせる要因になっている。
この残像感を解決するために、各メーカーは技術を競って開発している。そして現在主流になっている残像低減技術が、倍速駆動である。
倍速駆動は、ハード、ソフトの両面の駆動速度を上げ、リフレッシュレート(1秒間に書き換える回数)を60hzを2倍の120hz、4倍の240hzにする技術だ。実際には液晶のシャッター開閉、入力された動画のフレームレート等ハード、ソフト両面に手を加える必要があるため簡単に駆動速度を増やせるわけではないことを認識しておこう。

倍速で残像感を減らす方法は、2つある。
1つ目が黒挿入だ。
中間フレームに黒画面を挿入し、プラズマと同じようなインパルス駆動を擬似的にすることで残像を抑える。フレームの中間に黒が入るためこの影響で画面が暗くなってしまうが、最近はこの黒挿入をフレーム毎に局所的に行うバックライトラインブリンキング技術が採用され、輝度の問題が解決されている。東芝のWスキャン倍速やソニーのモーションフロープロはラインブリンキング技術を採用している。

2つ目が中間フレーム補間を行うことで、ブレを視覚的に減らす方法だ。本来60コマだった動画の間に、新しい中間フレームを作ることで、映像のブレを少なくし、人間が感じる残像を少なくさせる。(なぜ残像を感じなくなるかはこのブログの記事が良いと思う)

フレーム補間では、本来存在するコマの間に全く新しいフレームを作ることになるが、あまり積極的に中間フレームを強調すると元の動画にないコマが増えて質感を損なう上、予測ミスのエラーが発生しやすくなり、輪郭周辺等でノイズが発生する。

このエラーを減らすことと補間量のバランスを取ることがフレーム補間をする上で重要であり、多くのメーカーは元の質感を損なわないことに重点を置いていた。一方で、ソニーは多少のエラーを踏まえた上で、積極的に中間フレーム補間を行うモードを用意した。これこそモーションフロー(設定強)だったのである。
現在モーションフローと似た機能として、管理人の知る限りでは、
日立のなめらかシネマ、シャープのフィルムモード - アドバンス(強)が挙げられる。ただ、いずれも完成度はモーションフローに追い付いてない印象を受ける。
モーションフローはフレーム補間とIBリダクションという機能を組み合わせたものだが、注意点として、モーションフローのヌルヌル感はあくまで中間フレームの挿入によって実現されているということを認識しておこう。IBリダクションの有無は関係ない。(デモモードでIBリダクションON OFFが切り替えられるので、efのOPを再生してみよう。)

現在フレーム補間は倍速駆動と組み合わせてテレビ内で行うのが主流になったと思うが、入力前に行うのもアリだ。
WinDVDのTDNMもこの発想だし、最近ではHDオプティマイザーというスキャンコンバーターにもこの機能が搭載されていた。おそらく現在市場で出回っている高価格のスキャンコンバーターの中にもフレーム補間機能を備えたものが存在するだろう。今後レコーダー等に搭載されてくるかもしれない。


■モーションフローの詳細
改めて、モーションフローについて紹介しよう。モーションフローとは、ソニーの「フレーム補間」と「IBリダクション」を足し合わせたものを呼称している。IBリダクションとは、フレーム補間を行う前のコマに補正をかけ、映像のボケを少なくする技術で、同社のデジカメの技術が応用されている。

モーションフローには調整項目があり、以下のように設定が可能で、中間フレームの強調具合を調節出来る。。("プロ"でないモデルの場合、括弧内の表記になる)

motionflow000.jpg

モーションエンハンサー > スムーズ(強)
                  標準
                  クリア (モーションフロープロ搭載機種のみ)
                  切

ちなみに、なぜかモーションフローはテレビ本体ではモーションエンハンサーという名称で存在している
先程紹介した「ヌルヌルする効果」がもたらされるのは設定が「スムーズ」(もしくは強)の時である。

"標準"、"クリア"の場合は"切"に比べ映像のパンシーン等で移動が細かくなりながらもカタカタ感が残ったものになり、元の質感を保ちつつ残像を減らす効果が感じられる。
クリア設定はいわゆるラインブリンキングが適用され、より残像感を少なくさせたモードになる。輝度は結構落ちる。クリアは標準よりかなりカタカタである。
モーションフローには120hzと240hzが存在するが、当然240hzの方が中間フレーム挿入数が多くなるためヌルヌルになりやすい。
なお、モーションフローは24fpsソースに絶大な効果を発揮する。デジタル放送の60iからも24Pソースを検出し、滑らかな表示に仕立て上げる。

自然な絵で見たいか、そうでないか、おそらく受け入れられる人とそうでない人真っ二つに分かれる機能だが、中間フレーム補間が生み出した世界はまさに衝撃であった。管理人はTDMNでこの世界に出会ってから、魅了され続けてきた。
まだこの世界を知らない人はたくさんいる。
店頭でBRAVIAを見かけた際は、是非モーションフローを強に設定してみてほしい。今後多くのアニオタがその魅力の虜になるだろうと思う。


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