『涼宮ハルヒの消失』視聴感想

2010年02月12日 21:31

~涼宮ハルヒの消失~
  今度こそ泣いたって朝倉さんは帰ってこない  80点


新宿バルト9にて「涼宮ハルヒの消失」を視聴した。

本作は涼宮ハルヒシリーズの原作において、数あるエピソードの中でも特に人気、完成度の高い作品として知られている。
放映版に引き続き京都アニメーションが制作を担当しているが、それを聞くと2期の悪夢、エンドレスエイトが頭によぎる人も多いだろう。2期の出来に不満を感じている人は、本作にも不安を抱いているに違いない。
しかし、その出来は2時間半という長い上映時間を忘れるほど、良く出来たものであった。

ネタバレのない本旨要約:
斬新な演出はなかったものの、京アニクオリティが如何なく発揮された、手堅い作品。消失原作を未読なら、一層楽しめる映画である。また最低限、「笹の葉ラプソディ」の内容を頭の中に入れてから映画に来よう。

・細かな演出が光る
・朝倉スキーは見るべし
・来客層はオタク


※以降詳細レビュー及び、ネタバレ含む。

■細かい演出が光る
管理人は3年半前、アニメ1期の放送が終わった直後に消失原作を読んだのだが、上述の印象を残してすっかり忘れてしまった。なので今回は初見同然で、「あぁ、こんな展開だった」と思い出しながら視聴していたのだが、やはりストーリーが起伏に富んでいて、非常に面白いと感じた。
原作の完成度の高さあってこその、映画の高い完成度が実現されることを実感した。

ストーリーの進み方もスムーズで違和感なし。前半は、おかしくなってしまった日常に動揺するキョンに、後半は世界を造り変えてしまった張本人である長門に感情移入することが出来た。

作画も大変安定している。京アニらしく、体の動きが得意だ。
なお、本作のデザインは本来のアニメキャラデザに沿ったものであって、堀口絵のような癖のあるかわいい系のデザではない点を認識しておこう。

上記したように原作と比較しながら見ることは出来なかったが、整合性が合っていない部分等は傍目に見ても感じず、作品に没頭することが出来た。
尺の長さもちょうど良く、起承転結がしっかりとまとまっていた。

演出面に注目していくと、京アニらしく、3DCG表現が多用されていた。教室や遠景、ドアの開け閉め等が妙にヌルヌルだったのが印象的だ。
ただ、新しさがあったかといえばそうではない。ライブアライブやサムデイインザレインのような度肝を抜かれるような演出、構図は目につかなかった。
しかし、隅々に渡って丁寧に手が加えられていることが伺え、細かく描写が描かれている。
個人的に巧いと思ったのは後半、長門に修正プログラムを打ち込むシーンだ。怯える長門に光線銃を構えたキョンが躊躇して、持ち手を変えて打とうとしたシーンには、葛藤と優しさを感じた。
最後に長門が自ら自身に銃を向けて打つシーンも、手を動かす所までが描写され、最後のシーンが明示的に表現されていなかったのが、良かったと感じた。どうやら、ラグを伴って脳内で補完されていく演出は管理人のツボなようだ。
ラストシーンの雪が降って1期のOPとつながるシーンと、入部届けを返すシーンも同じくガチ。

強いて言わせてもらうと、EDの長門ソロ曲だけはいかがなものかと思った。歌詞はいいんだけど、妙な静けさが葬式のようだった。


■長門とキョンの意志
本稿はあくまで映画の感想であって考察する気もないので短くまとめたいが、世界を再構築した長門と、それらの世界の選択をしたキョン、それぞれに込められた意志を読み取ることが出来る。

長門がキョンに世界の選択を委ねた点に、長門にとってキョンの存在感の大きさがどれほどのものなのかを感じ取れる。
敢えて変化した自分をキョンの側に残し、自分とキョンの間の障害にならないキャラを残している描写を見る限り、親切心だけでなく、それ以上の感情があったのだろう。

一方キョンは、SOS団がない「全員普通の人間だった世界」に違和感を感じた。やがて、変化した日常をさまよう中で、ハルヒに会いたいという感情や、SOS団の日常を楽しんでいた自分がいることに気付く。
修正プログラムのキーを押す直前、入部届けを長門に返し、ここで変化した世界との決別という区切りを付けた。

世界を選択した際、キョンが長門の感情を全て理解して選択したかどうかはわからない。自己問答の末、ハルヒが恋しかったという感情に気付いたように、もしかしたら長門の感情を理解していたのかもしれない。
齟齬が含まれているかもしれない、という不確実性がある点も消失の面白くしている要素の一つだ。

こうして、管理人は、キョンはツンデレだと思ったのだった。


■萌え豚編 朝倉さんが天使な理由
萌え要素はハルヒでも欠かせない要素の一つであり、もちろん本作にも多数含まれている。
したがって、まずメインヒロインに萌えたい人には充分お勧め出来る映画である。
が!
が!!

何よりも本作は朝倉さん好きにはたまらない作品である。何せよ彼女は、長門に消され早々と退場してしまったのだから。
劇中のモーションブラーと共にコートを着た朝倉さんが出てくるシーンは、キョンの驚きと共に管理人の歓喜で世界は揺れた。

ああああ朝倉さんの手料理!俺にも作ってくれ!
しかもエレベーターの中で二人っきり!ブヒィ

…等など至る所でニヤニヤしていたのは管理人のみならず、朝倉ファンならそうであったに違いない。

そしてラストシーン、再構築した世界の生まれ変わった長門を守る存在として配置された朝倉さんのナイフ攻撃。
ああっ、あっあっ…嗚呼刺されたい!

本作の実質メインである長門は、今までアニメで見てきたものとは全く違う、感情に富んだ表情を見せる。それは、現実では出来なかった彼女の理想が投影されているからだ。そのため、長門派には大変ウケが宜しいに違いない。
CMでも使われていた血しぶきが飛ぶシーンや、序盤キョンに迫られて嫌がる表情などが個人的に印象的だった。
また、キョンが元の世界を選んで戻った後、無表情の長門を見たときの安心感は、視聴者になんとも奇妙な感情を抱かせる。

朝比奈さんは…見知らぬ人となったキョンに迫られて怯えているのが良い…出会い方によってこうも印象は変わるのだ、と感じさせる点が素晴らしい。
ハルヒの見どころは…やはり今までとは違う、高校で小泉と暗ーく歩いている表情かな。

さて、本作の萌えポイントはどこにあるのか?
考えていると、共通した特徴があることに気付く。それはズバリ、ギャップではないだろうか。

優しかった朝倉さんが、突然ナイフを向けてくる。すごいギャップだ。
でも、朝倉さんがただ単なる優等生だったら、たぶんここまで人気は出なかっただろう。(少なくとも管理人は傾倒しない)
彼女はナイフを持つ「異常性」があるからこそ魅力が出るのだと思う。

加えて消失で描かれるのは、「みんな普通の人間だった」というif世界のヒロイン、仲間たちの姿。
元の世界と平行世界の違いには、僕らの知らない新しい領域があって、何かワクワクするものがある。並行世界系の定番だ。
元の世界にいたヒロインとのギャップは、その量に伴って萌えとして、自然と我々の感性に訴えかけてくるのではないだろうか。


■画質はそこそこ、環境の良い映画館で見よう
新宿バルト9の環境はスクリーン、音響共に優秀であった。池袋よりも圧倒的に良い点は、席によってはスクリーン位置を目線と同じぐらいの高さに出来るため、長時間見ても首が全く疲れないことだ。
音響は映画館らしく太く荒削りな音ではあるが、サラウンド感も秀でていて優秀。マクロスF視聴時に感じた音量が大きすぎるといったようなこともなく、非常に集中することが出来た。
都内なら新宿バルト9かユナイテッドシネマ豊洲をお勧めする。

ちなみに、バルト9で推奨する座席はM,Nの17~19あたりだ。
地図からは番号17と18が中央位置に見えるがスクリーン位置を考えるとど真ん中は18のみ、したがって最もお勧めの席はM-18である。
なお、本作の画質は微妙だ。
上映開始前の宣伝がデジタルシネマで超綺麗だったのに、本編が始まると途端にフィルム画質に落ちてしまうのが残念だった。
前回全く同じ環境で見たマクロスFよりも解像度で劣っており、フィルムノイズも気になった。BDの方がノイズがない分、綺麗かもしれない。

余談だが、今回の映画は一般人から誘いを受けて見に行った珍しいケースだった。案外一般層が多いのかと思い、当日劇場内を見回したが、Fateと同じぐらいの95%オタオーラであった。


■総括  優等生的手堅い作品
振り返ってみると、ストーリーの骨子が良くできているだけあって、非常に楽しめる作品だ。
特に初見の人にお勧めしたい。
演出、作画面から見ると「今まで通りの京アニ」という優等生的印象は拭えないが、培ってきた技術を全て出しているようにも思える。

ハルヒシリーズにはまっていて、2時間半1,500円と言う値段に納得できるなら、是非とも行くべきだと思う。

最後に一つ言えば、果たしてこれを映画でやる必要があったかと言えばそうは思えない。だからこそ、エンドレスエイトは許されてはならないと思う。


・おまけ 管理人の中でのエンドレスエイト
一期のライブアライブ、サムデイインザレインを越えようとしたらこうなったって感じじゃね?


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://lumilia.blog73.fc2.com/tb.php/419-0ad7f452
    この記事へのトラックバック


    最近の記事